板東英二が見せてくれた、リアル「笑いながら怒る人」
今回ツッコませていただくのは、12月3日放送の「生活ほっとモ−ニング」(NHK)。
この日のゲストは板東英二、テーマは「詐欺」について。
現役プロ野球選手時代から数々の事業を手がけていた逸話などから、「がめついキャラ」として認知されている板東英二。完全にテーマありきでキャスティングされたとしか思えない。
板東もおそらく自分がなんで呼ばれているのかという役割は把握しているものと思う。だから、詐欺に引っかかりやすいかどうかのチェックテストでは、見事なぐらいチェック数が多く、周囲は「板東さん!」と驚き、「あんまり落ち込まないでくださいね」と慰められ、本人的にもそれがまたオイシイといった、板東英二流の方程式があるように見えた。
番組は、チェックテストの結果をふまえて項目ごとに悪質商法に詳しいという、大学准教授がポイントを解説してくれるスタイルで、キャッチセールス、点検商法、リフォーム詐欺など、その後もテストは続く。「笑われ役」としての立場を分かっていたはずの大人・板東だが、やはりどこか無理があるのか、口数も減り、どこか笑顔も少なくなってくる。
そして、すぐその気になっちゃうことから、「学習能力がないのは、どうすればいいんでしょうか?」という問いに、准教授が苦笑だけで返すと、「先生、捨てた、オレを!?」という軽いツッコミ。
アナウンサーにも、「図らずも、板東さんのための心理テストのようになってしまいました」「ナイスゲストですね!」と、全方位からいじられまくることに、さすがにキレてきたのか、進行する井上二郎アナに、「ものすごく偉そうに言うてるんですけど。こんな若いアナウンサーで……」と、固い笑顔でイヤミを言う。
そして、准教授の、こんこんとした柔らかい説教のような警告のあと、かみしめるように板東が言った。
「……みんな、上目線で僕に……」
笑顔ではあるが、大人・板東も限界なのか。そこに、黒崎めぐみアナがまた、余計なフォローを入れる。
「私たちも、気をつけて板東さんチェックしていきましょう」
意味不明である。さらに、「これにあてはまるのが多かったからといって、だまされるわけはないですし」と井上アナに念をおされると、
「アナタの声がね、なんともいえん、上からものすごく重しのようにね」
と、声に対して文句を言う。そこには、「声が低いんでねぇ、どうしてもね」と、また若干ズレたフォローが入るが、これって、竹中直人の昔のネタ、「笑いながら怒る人」そのままじゃないのか。もしくはFUJIWARA原西のギャグ、「笑ってるけど出ていけ~」を地でやっている人。
もうひとりのゲスト、加藤紀子に、「やましいことがあるからだよ、心に」という適確なツッコミをされ、収束。トドメにまとめの一言が、コレ。
「井上アナウンサー、もう少しやさしく……」
「笑われ役」の自覚を持っているといっても、よってたかって、笑い者にしすぎたのかもしれない。ちょっと可愛そうな、板東英二でした。
(太田サトル)
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