北京五輪の裏で生まれた「中国の闘病少女」への支援活動
金メダル51個を獲得するなど、スポーツ大国としてもその存在感を示した一方で、反政府デモやテロ、外国人殺害などが頻発するなど、中国の光と影の部分を、全世界にまざまざと見せつけることとなった北京オリンピック。
たとえば、日刊サイゾーでも報じた通り(記事参照)、オリンピックコースに隣接した胡同と呼ばれる路地には、崩壊しかけた家屋が並んでいるが、中国政府はこの家屋をテレビカメラや観光客の目に触れないよう、きれいな壁で覆い隠してしまった。貧困層の居住区域を隠蔽するというこうした行為も中国の影の部分といえるだろうが、そんな壁の向こうには、ある少女の苦悩と、それを救おうとする日本の有志たちの物語があった。
壁の向こう側にある、家賃もいらないという半壊した住居で母と弟と暮らす16歳の少女・フナさんは、現在、急性リンパ白血病に苦しんでいる。今年4月、病気であることが発覚し、入院して治療をしようとしたが、中国では医療保険制度が整備されておらず、治療費を払えなくなった彼女は病院を追い出されることになった。放射線治療1回を受けるには、家計を一手に支えている母の月収の50倍の金額(約16万円)がいる。さらに、骨髄移植を受けるためには、1120万円も必要だという。
お金を集める目処も立たず、絶望の淵にいたフナさんと8月に出会ったのが、北京オリンピックの取材で現地を訪れていた日本のテレビ関係者。可愛くて、けなげなフナさんの姿を見て、彼女をなんとか助けたいと、日本に戻り「フナさんの治療を支援する会」を立ち上げて、募金活動を開始した。
「経済格差や社会保障制度の不備によって厳しい現実に直面しているのは、フナさんだけではありません。しかし、フナさんの存在を知った以上、彼女の命を放置するわけにもいかず、治療費を届けたいと考えたんです」(支援する会)
フナさんの存在は、すでにいくつかのテレビ番組で紹介され、その純朴な美少女ぶりもあいまって、ネット上などでも支援の輪が広がっている。10月に支援の会は、すでに集まった114万円を持ってフナさんのもとを訪れているが、彼女の闘病生活を支えていくためには、募金はまだまだ必要だ。
支援する会に携わるメディア関係者は、これまでサイゾーを応援してくれた人々でもある。この支援活動に関心を持たれた方は、支援する会のサイトでさらに詳しい情報を見てほしい。こうした活動が、日本から近くて遠い国である中国の影に、一筋の光をともすこと になるかもしれない。
※関連リンク
フナさんの治療を支援する会