『消臭元』の容器の説明に書いてある使用環境ってどういうことですか?
◎鮫肌文殊と山名宏和の「だから直接聞いてみた」
知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問を人気放送作家2人が直撃解決!
一体どれくらい使えるのか、というのは気になるものである。
たとえば、「シャチハタ」だ。
もう20年近く前、一瞬だけ会社勤めをした時につくってもらったシャチハタをいまだに使っている。これまでに何度、「山名山名山名」と押しただろうか。しかし、まったくインクがなくなる気配はない。初めて押したときと同じように、鮮やかに「山名」と捺印する。果たして、この先、どれだけ「山名山名山名」と押すことができるのだろうか。
一方で、どれくらい使えるのか明記しているものもある。トイレに置く消臭剤『消臭元』も、そのひとつである。容器のラベルに、使用期間はこう書かれている。
「1.5カ月から3カ月」
書いてはあるが、なんともゆるい表記である。1.5カ月と3カ月。倍も違う。もし、こんな表記が薬の使用上の注意に書かれていたら大変だろう。
「1回3錠から6錠」
こんな薬はダメだ。効かない気がする。
だが、『消臭元』の場合、どうしてそんなに使用期間に開きがあるのかの説明も、ちゃんと記されている。理由のひとつは、「引き出すろ紙の長さ」である。引き出したろ紙から、容器内の消臭剤が揮発する。だから、ろ紙を引き出すほど、消臭剤は早く消耗する。
ここまではいい。しかし、気になるのはその先だ。
「使用環境によって異なります」
引き出したろ紙の長さだけでなく、使用環境によっても、使える期間が違うらしい。ところで、使用環境ってどういうことだ。消臭剤が早くなくなる環境ってことは、つまり臭いってことか。
「消臭元を1.5カ月で使い切ってしまうトイレ」
そんなトイレには入りたくない。
気になる。とても気になる。そこで『消臭元』をつくっている、小林製薬お客様相談室に直接聞いてみた。
『消臭元の容器の説明に書いてある使用環境ってどういうことですか?』
担当者 季節の温度、空気の流れ、換気などの周りの環境によって、変わるということですね。
──臭かったら、その分、早くなるということはないんですか?
担当者 臭いだけでは、早くなくなるということはありませんね。先ほどご説明した通り、温度や空気の流れなどで、消耗していくということになります。空気や扇風機、クーラーの風などが当たると、消耗が早くなりますね。気温に左右されることも大きくて、気温の高いほうが、はい、早く消耗しますね。ですので、冬場より夏場のほうが消耗は早くなりますね。
なるほど。臭いから早くなくなるわけではないのか。誤解していた。
それにしても、『消臭元』(『消臭力』もそうだが)は、どうしてあんなにも堂々と容器に堂々と商品名が書かれているのだろうか。確かに頼もしさは感じるが、それと同時に、なにもこんな場所で、そこまで自己主張しなくてもという気もする。飲食店のトイレで見かけたならば、そんなにもこの店のトイレは消臭しないといけないのかと、いらぬ憶測さえしてしまう。いや、飲食店だけではない。家庭のトイレに置かれていてもそう思うだろう。
消臭剤はトイレに置く以上、インテリアの一部となるものである。もう少しそのことを考えたパッケージにしてもらえないだろうか。と、書いている我が家のトイレには、『消臭元』も『消臭力』もないのだが。
山名宏和(やまな ひろかず)
1967年、東京にて誕生。放送作家。『行列ができる法律相談所』『ザ!鉄腕!DASH!!』(ともに日テレ系)などを手がける。