あの熱狂から28年。今、MATCHYに惚れ直してみる
SMR
「マッチ」がいつから「MATCHY」と表記されるようになったのかよくわからないほど、長い間、近藤真彦から遠ざかっていた。たまにテレビで見かけると、素人目にもわかる若手ジャニーズとの抱き合わせ出演で、「あちゃー、後輩の褌で相撲をとっちゃって……」と思っていた。
しかし、何を隠そう、人生で初めて自分で買ったレコードは、マッチの「スニーカーぶる~す」である。つまり、マッチは私の原点。その後、シブがき隊→光GENJIと順調にジャニーズアイドルを乗り換えて、いつしかその原点を忘れていた。
ところが、先日、「anan」の好きな男ランキングで、マッチが入っているのを発見した。「好きな大人の男」第5位。なんと2年連続だ。ありゃ、また事務所がねじ込んだか……、と思いつつ、mixiのマッチコミュを見たら、意外にもけっこうファンがいることがわかった。メンバー数は1100人以上。トシちゃんは約280人。ヨッちゃんは約490人。中村繁之なんて30人(しかも「中村繁之とジェット・リー」というコミュ。似てるけどさ)である。ファンはいわゆる”アラフォー”だった。
というわけで、筆者もスイーツ(笑)からアラフォー(笑)へ脱皮するべく、DVD『近藤真彦 LIVE 07.12.26-08.02.14』定価8400円(高いっ!)を購入の上、視聴してみた。この2枚組DVDの目玉は、今年2月に武道館で行われた「武道館で ひとくぎり ケジメLIVE!!」である。マッチがこれまでのシングル全44曲を歌い、武道館公演にひとくぎり付けるという記念碑的ライブだ。マッチ、少しは歌上手くなってるかなーと期待して見てみたら……。
吹いた。
マッチ、変わってないぜ。力みまくりだぜ。わざと遅らせて歌うところに大人の余裕を醸し出そうとする努力の痕跡が若干見受けられるような気がしないでもないが、基本的にみなさんが頭の中で思い浮かぶマッチのまんまです。外見もあまり変わってない。よくも悪くもマッチ。それ以上でもそれ以下でもなくマッチ。しかし、この年で「変わってない」と思わせることはすごいことだ。相当節制が必要なのではないかと思う。トシちゃんもヨッちゃんも、かなり変わっちゃったもんね。
それと、『ギンギラギンにさりげなく』の「♪さりげなく~生きるだけさ~」という歌詞は、今のマッチが歌うととても深みがあることに気づいた。『情熱・熱風・せれなーで』は相変わらずいい曲だ。そしてそして、『愚か者』だけは、意外にも上手くなっていた。この曲は年を重ねることで初めて生きてくるのかもしれない。残念ながらショーケン版『愚か者』の衝撃を払拭するまでには至らないが、マッチ版もなかなか聞かせる。ちなみに、以上の3曲と「♪ブービーLADY お前だけ」の『真夏の一秒』は伊達歩の歌詞だ。誰かと思ったら、伊集院静だった。子どもの頃は知らなかったそんな発見もあった。
ああ、これ「ヤンヤン歌うスタジオ」(註・昔のアイドル番組)にラジカセをくっつけて録音したっけ(註・昔はそうやって歌謡曲を録音する人が結構いたのだ)、なんてことを思い出しつつ、44曲のうち半分以上は口ずさめた。調べてみたら、44曲中30曲が80年代の曲だった。客席のオバ……、もとい、アラフォー(笑)はみんな熱狂している。熱狂するわ、これ。
マッチの距離感はちょうどいい。聖子はアグレッシブに活躍しすぎて、手の届かないところへ行ってしまった感がある。目を離していた四半世紀の活動を今からおさらいするのはたいへんだ。かといって、明菜やトシちゃんは……、なんだか寂しい気持ちになってしまう。その点、マッチは腐ってもジャニーズ。いろいろあったがすべて乗り越えて、今も往年のまま。華やかで景気がいい。それでいてナツメロばかりなので再参入しやすい。
いろいろ人生に疲れて久しぶりに実家に戻ってみたら、初恋の人とばったり会って、「オレ、今でもこの町に住んでるから」なんて言われて、ハッとしてグッとくるような(それはトシちゃんだけど)、そんな感じ。マッチは待っていてくれる。12月でデビュー28周年、29年目に突入するそうだ。ずっとは応援できないけど、時々応援するよ、MATCHY!
右手の感じがイイ。
亀井百合子(かめい・ゆりこ)
1973年、東京都の隣の県生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスライターに。ファッション誌やカルチャー誌のライター、アパレルブランドのコピーライターとして活動中。
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