この海外有名人の暴露本がスゴい!
『ふぞろいな秘密』(石原真理子著/双葉社)など、日本でも話題となる有名人らの暴露本。では、ゴシップの本場アメリカで、近年話題となった暴露本にはどのようなものがあるのだろうか? まずはここにきて、「不倫だ離婚だ」とゴシップ誌を賑わしているマドンナの実弟による暴露本『Life with My Sister Madonna』(1)。その内容は、マドンナは「子どもの頃からジョークのセンスがゼロだったが、自分に恐ろしいほど自信を持っていた」「強大なエゴを持ち映画スターを夢見ていたが、演技力は全くなかった」などといった微笑ましい(?)エピソードに溢れている。だが、マドンナから受けた虐待の数々なども交え、姉に対する憤りとちょっとした愛情を込めた、身内ならではの愛憎も。マドンナが同性愛者嫌いの映画監督、ガイ・リッチーと結婚して以来、ゲイである彼は姉との関係が疎遠になったとも綴っている。
マドンナ同様、ミュージシャンでは、日本で・ボビ男・ブームをつくり、80~90年代に全世界で1000万枚以上のアルバムセールスを記録した
R&B界の元スーパースター、ボビー・ブラウンの自伝『The Truth, the Whole Truth and Nothing
But…』(2)が話題に。昨年離婚した、元妻のホイットニー・ヒューストンとの酒&クスリまみれ(彼はホイットニーの影響でコカインをやる
ようになったと告白)の、波乱万丈な15年間の結婚生活を中心に、マドンナやジャネット・ジャクソンを含む、数千人(!)もの女性との肉体関係についても
言及したスキャンダラスな内容だ。その余波でイメージダウンは避けられないと思われたホイットニーは、この自伝について「彼がそのようなことを言う必要性
に駆られたことは悲しいけど、私は自分が正しいと思う道を進むだけ。たとえ事実関係をはっきりさせることになったとしても、娘の父親のことを悪く言うつも
りはないわ」と語っている。さすがは大物の余裕!
そして、日本でもNHKで放映されて話題になった大ヒット青春ドラマ『ビバリーヒルズ
高校(青春)白書』で、人気キャラのひとり、ドナ役を演じて有名になった女優、トリ・スペリングも最近自伝『sTORITELLING』(3)を発表し
た。大物プロデューサーを父に持ち、リッチで奇妙な生活環境で育った彼女。父が子どもたちに、雪が降らないロサンゼルスでホワイト・クリスマスを体験させ
ようと、人工降雪機を使って自宅の広大な庭にそり用の丘ができるほどの大量の雪を降らせたという自慢話に加え、12歳のときに着飾った自分を母親に見せて
「私、キレイ?」と訊ねるも「鼻を整形したらね」と返されて、16歳のときに整形手術を受けたというイタい話も。さらには大失敗だった初婚や母との確執な
ど、
ハードコアなセレブ・ライフを暴露している。
最後に紹介するのは、94年に元妻とその友人の殺害容疑で逮捕され、全米中を
騒然とさせたアメフト界のスター、O・J・シンプソン。有罪を確信されていたこの殺害事件「O・J・シンプソン事件」の刑事裁判で無罪を勝ち取った彼が、
事件についての手記『If I Did It: Confessions of the
Killer』(4)を執筆した。それは「私は犯人じゃないけど、もしそうだったとしたら、こうやって殺しただろう」という仮説(本人談)を元に、チャー
リーなる謎の人物と共に殺害現場を・再現・するという、アンモラルな内容だ(殺人場面は記憶喪失を理由に書かれていないが、妻とその友人を殺した順番は記
述)。実質的な真相告白といえる内容に全米中から非難が集中した結果、同書は刊行直前に発売中止に追い込まれるも、お蔵入りから1年後、販売元が変わり、
さらに遺族のコメントが加筆されて昨年出版されたのだ。
大衆の興味をそそることで部数を伸ばす暴露本。だがその裏では、不快な思いをする人や被害を被る人も確かにいるのである。
(小林真里/取材・文)